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2008年04月28日

数字でみる自殺

書店で本を物色していると、死因ランキングなるものが目に入ってきた。
ぱらぱらとページをめくり、斜め読みする。どうやらこの本によると日本で死亡する疾病で一番多いのは肺がんだそうだ。そして一番知りたい自殺は10位にランクインしている。やはり異常な状態である。

先日、『こころの科学』139号が発行された。
この雑誌は学会雑誌ほど難しくも無く、一般人でも専門知識があれば読める程度の内容で非常にお勧めの雑誌である。今回の特集は「数字で知るこころの問題」である。タイトルからも分かるように、生涯罹患率や治癒率などの数字に特化した特集である。
さて、この特集でも自殺についてはそこそこページを割いており、読んでいて色々と為になる情報があった。
先ほどの本では自殺は死因別で10位になるとなっていたが、この雑誌の大分類では、1位が悪性新生物(所謂がん)で6位に自殺が入っている。最近多い中高年男性の自殺についても項目を割いて解説がされていたが、気になったのが、年齢別死因一覧と自殺未遂で救急搬送された人の希死念慮調査についてであった。
やはり、20代では一番多い死因が自殺である。今回は5歳刻みでグラフ化されていたが、他を引き離していた。持病や若年性の病がなければ死に至る場合は、交通事故か自殺ということらしい。ただ、交通事故の死者数は24時間以内の死者数なので注意がいる。
次に気になったのが、いつ希死念慮が現れ、行動に移したのかという実態調査の結果である。
流石に既遂者に尋ねる訳にはいかないので、救急搬送された危篤例を中心にサンプリングした結果となる。ほぼ半数近い人がその当日に希死念慮が現れ、自殺行為へと移行した、という結果になった。自殺への抑止力の限界を知らされる数字である。これが数日あれば、それに対して多少なりはカウンセリングや場合によっては措置入院などの抑止策を考えることも出来るが当日では厳しい。

#:ちなみに、20代での死因のランキングは2位悪性新生物、3位脳循環器不全と続きます。

投稿者 佐野 : 2008年04月28日 03:20

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